あなたはどんな油を使っていますか?油は悪者のように言われていた時期がありましたが、今では油も上手に摂れば体にとってプラスに働いてくれると言われています。
その中でも米油ですが、米油はメリットが多く体に良いと聞き、我が家ではここ数年常備油としてよく使っていました。
ところが、「米油は危険!?」なんて囁かれているので、心配になってしまいました。
同じくあなたも心配されているのでは?
料理には欠かせない油ですし、毎日のように使う油ですから不安な思いで使いたくないと思います。
なので、米油について調べてみました。
この記事では、米油が作られる工程や特徴、身体への影響や安全性を詳しく知ることができます。
Contents
米油は本当に危険なのか?3つの理由!
ご安心ください、米油は安全な油です。
ではなぜ「米油は危険!?」と囁かれているのか?それには以下の3つの理由があるようです。
- 理由1:溶剤抽出法
- 理由2:トランス脂肪酸
- 理由3:カネミ油症事件
理由の1:溶剤抽出法
米油を抽出するときに使われるノルマルヘキサン溶剤がガソリンにも含まれている溶剤で劇薬とのことです。
劇薬と聞いただけで大丈夫なの?危険じゃないの?と思ってしまいますよね。
しかし、精製工程で最終的には無害になると言われています。
理由の2:トランス脂肪酸
溶剤抽出法で行われる脱臭工程での加熱処理のときにトランス脂肪酸が生成されるようです。
トランス脂肪酸はなるべく摂りたくないですよね。
理由の3:カネミ油症事件
1968年におきた食品公害事件です。
カネミ油倉庫で作られた米油、米ぬか油にダイオキシン類が混入したことが原因で、多くの被害者が出た事件です。
現在もまだ当時の後遺症で悩まれている方がおり、ひ孫にまで影響しているというとても心が痛む事件です。
以上の3つの理由の詳細について、そして安全とは言っても本当に私たちの体に悪い影響はないのか?さらに、米油のより安全な選び方と摂り方を調査しましたので参考にしていただければと思います。
抽出方法の仕方と違いについて
米油の抽出方法には大きく分けて以下の2種類があります。
- 圧搾抽出法
- 溶剤抽出法
圧搾抽出法の仕方
引用元:Jーオイルミルズ公式サイト
原料(米ぬか)
▼
精選(原料に含まれている雑物を取り除く)
▼
前処理(加熱や破砕し油分をとりやすくする)
▼
圧搾抽出(一番搾り)
※溶剤を使わず高温処理もされないので栄養素が壊されることなく抽出される
▼
商品化
圧搾機で米ぬかに圧力をかけ米油を抽出する製法です。
溶剤を一切使わないので溶剤抽出法のように大量に米油は摂れませんが、危険性は全くありません。
溶剤抽出法の仕方
引用元:Jーオイルミルズ公式サイト
原料(米ぬか)
▼
精選(原料に含まれている雑物を取り除く)
▼
前処理(加熱や破砕し油分をとりやすくする)
▼
溶剤抽出(ノルマルヘキサン溶剤を加え油分を抽出し溶剤を蒸留装置で揮発させ油分をとる)
▼
脱ガム(温水を加えガム質からレシチンを取り出す)
▼
脱酸(苛性ソーダを使って石けんにし遠心分離で取り除く)
▼
脱色(活性白土を加え色素を吸着させ脱色する)
▼
精密ろ過(高温・真空の状態で水蒸気を吹き込み脱臭)
高温・真空➡脱臭
※この工程で自然界には存在しない副産物のトランス脂肪酸が作られる。
▼
商品化
米ぬかから効率的に多くの油を抽出するためにノルマルヘキサン溶剤を何度も加えます。
沸点が69度のノルマルヘキサン溶剤と油との沸点の差を利用してノルマルヘキサン溶剤だけを蒸発させると多くの米油だけが残ります。
なのでこの精製工程でノルマルヘキサン溶剤はすべて除去されると言われています。
トランス脂肪酸
- 圧搾抽出法で抽出された米油にはトランス脂肪酸(0%)は含まれていない
- 溶剤抽出法で抽出された米油のトランス脂肪酸はごく少量含まれる
トランス脂肪酸についてはよく耳にされている方が多いと思います。
マーガリンやショートニングなどに加工するときや、溶剤で抽出した油を脱臭する工程でトランス脂肪酸が作られるようです。
溶剤抽出法による米油のトランス脂肪酸の含有量は製造メーカー間による違いもあるのようです。
参考までに、トランス脂肪酸に関するQ&Aなどを載せておきます。
引用元:農林水産省公式サイト
上記の農林水産省では、トランス脂肪酸の1日の摂取量を、総エネルギー摂取量の1%に相当する量よりも少なくするようにと勧告しています。
1日1900kcal摂取する成人の場合で1%に相当するトランス脂肪酸の量は約2グラムとなります。
ボーソー油脂(株)では、1日1900kcal摂取する成人の場合で、ボーソー油脂(株)商品の米油で計算すると133.3g未満になるということです。
つまり米油を133.3g摂らないとトランス脂肪酸約2グラム摂れないということです。
油を1日に133g以上摂ることは考えられないですよね、なので溶剤抽出法で抽出した米油自体に含まれるトランス脂肪酸に関しては問題ない量なので危険ではないということです。
そして、圧搾抽出法で抽出された米油に関してはトランス脂肪酸は0%なので全く問題ないです。
カネミ油症事件
カネミ油症事件とは、1968年(昭和43年)に米ぬか油の製造過程に熱媒体として使用されたポリ塩化ビフェニル(PCB)の加熱によってできるダイオキシン類、ポリ塩化ジベンゾフラン(PCDF)が米ぬか油に混入し、その米ぬか油で調理した料理を食べた人たちに、皮膚の異常や内臓疾患などが続出し、肌の黒い赤ちゃんが産まれるなど、社会的に大きなショックを与えた事件です。
この事件をきっかけにポリ塩化ビフェニル(PCB)は製造が中止になりました。
しかし、現在もまだ当時の後遺症で悩まれている方がおり、ひ孫にまで影響しているという恐ろしい事件で、まだまだ苦しまれている被害者がたくさんいるということを知りました。
現在の米油の製造過程では、溶剤抽出でのノルマルヘキサン溶剤は沸点69度の熱で完全に取り除かれ、ダイオキシン類が作られてしまうPCBは使われることはないので現在の米油には問題ないです。
米油の体への影響について
溶剤抽出法
- 精製工程でノルマルヘキサン溶剤はすべて除去されるので体への影響はない
ノルマルヘキサン溶剤は劇薬と言われ、ガソリンにも含まれている溶剤と聞くと体に悪いのではないかと心配になりますよね。
しかし、「米油は本当に危険なのか?3つの理由!」で、溶剤抽出法での詳細を見て頂くと分かる通り、精製工程で完全除去されるとのことなので安心して米油を摂ることができると思います。
ただ、溶液抽出法ですと米ぬかに含まれている栄養素が失われてしまっているのは少し残念です。
栄養成分が全くなくなるわけではないです。
トランス脂肪酸
- 圧搾抽出法で抽出された米油にはトランス脂肪酸(0%)は含まれていないので安心
- 溶剤抽出法で抽出された米油のトランス脂肪酸は体への影響はなくごく少量
しかし、実際にトランス脂肪酸を長年過剰に摂取してしまった場合は体にどのような影響があるのでしょうか?米油では影響ありませんが参考まで。
よく言われているのは、糖尿病、心疾患、脳疾患など生活習慣病の原因になると言われています。
さらに、認知症、アルツハイマー病、肝機能障害、前立腺がん、不妊症など続々と報告されているとのことも分かりました。
トランス脂肪酸はマーガリンやショートニング、植物油の精製工程で人工的に作られるだけではなくて、牛肉や羊肉、ヤギ肉や乳製品などに天然のトランス脂肪酸が含まれているようです。
そして天然でもその危険性はまだ分かっていないようです。
外食をよくする方やマーガリン、ショートニング(お菓子に使われている)をよく摂取している方は摂りすぎないように気を付けたいですね。
現在日本ではトランス脂肪酸含有量の表示義務がないので、自分自身でお菓子などの食品にどのくらい含まれているのかを調べるのにも限界があります、なのでトランス脂肪酸が含まれている食品の量を多く摂らないという意識が大切だと思いました。
以下に米油以外の身近な食品のトランス脂肪酸含有量を載せておきますので参考にしてください。
トランス脂肪酸が含まれている食品
- トランス脂肪酸含有量(100gあたり)
人工的なトランス脂肪酸
・マーガリン 13g
・ショートニング 31g
・ファットスプレッド 10g
天然のトランス脂肪酸
・バター 2.2g
・チーズ 1.5g
・牛乳 2.7g
・サーロイン牛肉 1.4g
※植物油脂・加工油脂・油脂加工品・食用~油(脂)と表示があるもの。
※ホイップクリーム・コーヒーフレッシュ・ラクトアイス・アイスミルクなどもトランス脂肪酸が含まれています。
米油の安全な選び方と摂り方
選び方
溶剤抽出法でも米油は安全ですが、栄養素がより豊富でトランス脂肪酸が0%の圧搾抽出法で抽出された米油が選び方としてはおすすめです。
米油には他にも注目すべき点があります。
それは、米油は遺伝子組み換えの心配がなく、ほぼ100%国産です!(注:2020年現在)その他の植物油は98%が輸入に頼っており、輸入のほとんどの植物油が遺伝子組み換えです。
なので米油の安全な選び方というよりも米油を選べば安全とも言えます。
とはいえやはり、トランス脂肪酸が0%で栄養素が失われていない圧搾抽出法で抽出された米油を選びたいですね。
スーパーなどで売られている米油はほとんどが溶剤抽出法による米油ですよね。
ネット通販の専門店で、圧搾抽出法にこだわった米油を購入することができます。
摂り方
圧搾抽出法で選んだ米油の摂り方
- 米油の注目すべき成分
トコトリエノール(スーパービタミンE)
※ビタミンEの50倍以上の強力抗酸化作用といわれていて、肌の劣化老化を防いでくれて美肌効果があります。ストレスによる活性酸素を除去する効果など。
γーオリザノール(ポリフェノール)
※米油にのみ含まれている成分で、自律神経失調症・更年期障害の改善・コレステロールの低下・美白・アンチエイジング効果など。
淡白でクセがなくあっさりしていてさっぱり食べられます。
クセがないので和食との相性がよく、サラダなどのドレッシングとして生で使えばスーパービタミンEやその他の栄養素をそのまま吸収できます。
そして、高温にも強く酸化しにくいので揚げ物にも適しています。
油酔いがおきないこともうれしいですね。
- 亜麻仁油やシソ油、えごま油などは熱に弱い油なので生で摂るように注意しないといけませんが、米油は生でも揚げ物調理でも調理温度に注意することなく摂ることができます。
米油ってやっぱり万能ですね!
まとめ
今回は「米油は体に悪いの?抽出方法による危険性とトランス脂肪酸の心配はあるのか?」と題しましてお伝えしてきましたがいかがでしたでしょうか?
1:溶剤抽出法
・精製工程でノルマルヘキサン溶剤はすべて除去されるので体への影響はない
2:トランス脂肪酸
・圧搾抽出法で抽出された米油にはトランス脂肪酸(0%)は含まれていないので安心
・溶剤抽出法で抽出された米油のトランス脂肪酸は体への影響はなくごく少量
3:カネミ油症事件
・カネミ油症の原因のPCBが現在使われることはないので現在の米油に問題はない
※米油が危険と言われている3つの理由はいずれも現在の米油に関しては問題なく安全であることが分かりました。
ということで、米油は危険ではないことが分かりました!これで安心して使うことができますね。
できればトランス脂肪酸が0%の圧搾抽出法で抽出された、栄養豊富な米油を摂りましょう。
それでは、少しでもお役に立てましたら幸いです。
最後までご覧いただきましてありがとうございました。